新年の始まりはやっぱり歌舞伎を見ないとね!
こんな習慣がもう10年以上続いてる。
我ながらこんなに持続的にハマるとは…
今年の一発目は新橋演舞場での
『雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)』
海老様の五役ですよ
これ、もう、
海老様の
海老様による
海老様ファンのための
通し狂言です。
歌舞伎十八番の『毛抜』『鳴神』『不動』は
バラバラでは見たことあったけど、
通しで見るのは始めて!
しかも五役もあるもんだから、
海老様の『見得のフルコース』ですよ。
もうあのお方、なにをしても、サマになるのですよ。
話の内容は、平安時代を舞台にした勧善懲悪モノ。
鳴神上人(なるかみしょうにん)が龍神を滝つぼに封じ込めた結果、日照り続きの日々。
小野小町の末裔・小野家の御家騒動と皇位簒奪の陰謀が入り乱れての物語。
不動明王が最後に悪を成敗してめでたく終わる。
個人的みどころ
【毛抜】
歌舞伎流、探偵物語です。
粂寺弾正(くめでらだんじょう)が髪の毛が逆立つ病気のトリックを暴いていくんだけど、
この弾正さんがウケる奴なのさ。
タバコ持って来てくれた若衆に、『馬の稽古してやる』とか言って抱きついて喜んでたり(アッチの方?)、
次から次にくる女性に絡んでは振られる。
その度に、
「近頃面目次第もございません」なんつって会場に頭を下げる。
名探偵がちょいとオトボケキャラなのは、もうこの時代からなのかぁ!
【鳴神】
鳴神上人のところへ雲の絶間姫がやってくる。
彼女のトークの巧妙さについつい聞き入ってしまい、女性の乳をはじめて触って興奮してしまい、
わかっちゃいるけど性欲爆発!「結婚しようぜ!」なんて流れに。
その後下戸の鳴神先生は酔い潰されちゃうんだけど、
こういう人のエロなんかの描写が妙にリアルなところが面白い。
それで、騙されたことに気づいた鳴神先生が、ギガ怒り狂っちゃうあたりの描写も
先生のピュアっぷりがうまく描かれてるんだよなー。
300年前も、今も、『人は変わってないんだな~』、『自分って日本人だな~』
なんて思わせちゃうあたりが歌舞伎の楽しさなんだよな。
【不動】
早雲王子が暴れる荒事の場面。もうこれは海老様最高ですよ!
なんて迫力でしょうね、あの目。
歌舞伎初の試み、不動明王の空中浮遊…これ期待してたけどかなり残念。
不動明王の登場までの演出がかなりよかっただけに、げんなり。
それでも艶やかに今年も歌舞伎でも幕開けです。
さてさて、お次は本命、『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』。
演舞場でやる演目は分かりやすくて気軽に見れるけど、やっぱり歌舞伎座で見ないとね~。
今年は成田山開基1070年記念だそうで、演舞場の2階には小さな不動明王が居た!
ほんと悪いもの追っ払ってくれそうな面構えでした。
市川家の成田山 信仰に由来するものらしいけど、行ったことない。
今年の4月28日~5月28日まで1070年祭があるみたいだから、覗いてみようかな!
歌舞伎メモ
『毛抜』
1742年(寛保【かんぽう】2年)に『雷神不動北山桜【なるかみふどうきたやまざくら】』という作品の中で、2代目市川團十郎【いちかわだんじゅうろう】が演じたのが最初です。
主人公の粂寺弾正【くめでらだんじょう】は、使者として小野春道【おののはるみち】の館に向かいます。春道の娘【むすめ】錦の前【にしきのまえ】は、髪【かみ】の毛が逆立つという病気でした。弾正は春道を待っている間、毛抜きでひげを抜いていました。するとその毛抜きが勝手に立って踊【おど】り始めました。しかし、銀の煙管【きせる】は踊りません。さまざまなものを試すうちに、どうやら天井【てんじょう】が怪【あや】しいと思った弾正は槍【やり】で天井を突【つ】きます。すると大きな磁石を持った忍【しの】びの者が飛び降りてきました。娘錦の前の髪にさしてあった鉄のかんざしが、磁石に反応したために髪の毛が逆立っていたことが判明する、というお話です。
この粂寺弾正という役は荒事【あらごと】の一種ですが、『鳴神【なるかみ】』などのように荒々しいものではなく豪快【ごうかい】な中にも大らかさがある役です。7代目團十郎が演じた後はしばらく途絶【とだ】えていましたが、1909年(明治42年)に2代目市川左團次【いちかわさだんじ】が復活させ、現在に伝わっています。
(歌舞伎辞典より)
『鳴神』
鳴神上人は、寺院建立を約束に皇子誕生の祈祷を行い、これを成功させる。しかし、時の天皇が約束を破ったために呪術を用いて、雨降らしの竜神を滝つぼに封印させてしまう。これにより、国中が干ばつに襲われ、民百姓が困ると、天皇は女色で上人の呪術を破ろうと、内裏一の美人・雲の絶間姫を上人の元に送り込む。雲の絶間姫の色仕掛けに上人は思わずその身体に触れ、ついに戒律を犯すばかりか、酒に酔いつぶれ、眠ってしまう。その時を見計らった絶間姫により、滝つぼより放たれた竜神により、大雨が降る。だまされたと悟った上人は烈火のごとく怒り出し、髪は逆立ち衣装は炎の模様になり、雷神「鳴神」になり、姫を追う。
(ウィキペディアより)
『不動』
不動(ふどう)は歌舞伎十八番の一。元禄10年(1697年)、江戸中村座において二代目市川團十郎が『兵根元曾我』(つはもの こんげん そが)の一幕として演じたのが初演。
狂言の大詰に役者が不動明王に扮して出現するという単純なもので、市川團十郎家の成田山信仰に由来する芸である。現行のものは二代目尾上松緑が復活上演した『雷神不動北山桜』(昭和42年(1967年)、戸部銀作脚本)の大詰である。
(ウィキペディアより)